コーヒー豆はアカネ科コフィア属に属する常緑樹木であるコーヒーノキの(コーヒーの木)の種子であり、コーヒーノキはアラビカ種、カネフォラ種、リベリカ種などの種類に分類することができます。
アラビカ種、カネフォラ種、リベリカ種などのコーヒーノキはそれぞれ染色体の数が異なるため、通常は交配することはできません。
このうちコーヒー豆として主に消費されているのはアラビカ種で、200以上の品種に分類することができます。
生産された国や一般名称ではなく、コーヒー豆の精製方法やコーヒーノキの品種を知ってコーヒーを味わうことで、好みのコーヒーを見つけやすくなるかも知れません。
エチオピア原産で、コーヒー豆としての品質がすぐれているためコーヒー豆生産量の70%以上を占め、世界で一番多く生産されているコーヒーの原種。
収穫量が低く、病害虫に弱いため頻繁に品種改良され、いろいろな品種に分類されている。主にレギュラーコーヒー用として栽培。
アラビカ種の中で最も古い品種であり、流通しているアラビカ種のコーヒー豆のほとんどがこのティピカをルーツとしている。
特徴は甘味と上品でさわやかな酸味とされているが、樹高が高くて生産性が低く、病害虫にも弱いため品種改良の対象となってしまった。
このため50年ほど前まではティピカ種100%のコーヒー豆が流通していたが、生産性が悪いという理由からその生産量は減少を続け、今では手に入りにくいコーヒー豆となっている。
ブラジルのバイア州マラゴジペで発見されたティピカの突然変異種。
スクリーン19以上(約7.5mm)の大粒の豆が特徴的。樹高がきわめて高く、収穫量が少ないことから流通量は全体の2.5%ほど。 ほのかなコクと酸味から「上品なコーヒー」とされている。
インドネシア・スマトラ島で独自変化したティピカ種の突然変異種とされている。
有名な銘柄「マンデリン」に含まれる品種。 コーヒー店によってはスマトラ種と分類せずにティピカ種と記載していることもある。
濃厚なコクと重量感、独特の苦味が特徴的。
ティピカとその他の種(ブルボン)の雑種(または突然変異種)とされ、一部のサビ病菌に強いことが特徴。
1920年頃にインドのマイソール地方で発見され、インドをはじめケニア、タンザニアで栽培されている。
タンザニアで広く栽培されているKP423もケント種から選抜された品種のひとつ。
イエメンからレユニオン島(マダガスカル島東方にあるインド洋上の島)に移植されたものが起源とされる小粒豆。 その後ブラジルに移植され、ブラジルのコーヒーの原型となっている。
ティピカ種よりは丈夫で収穫量も多いが、隔年収穫であるため流通量は少ない。 タンザニアで広く栽培されているN39もブルボン種から選抜された品種である。
酸味と苦味のバランスが良く、コクも丸みがありやわらかい味わい。
ブルボンの突然変異のパカスとマラゴジベの交配種。
大きな豆で、ゲイシャのような独特の香りと酸味が特徴。
1915年、ブラジル・ミナスジェライス州で発見されたブルボン種の突然変異種。
ブルボンよりも病害虫や直射日光、低気温に強いと言われてたが、ブラジルの気候に合わず、現在では主にコロンビアやコスタリカで栽培されている。
ブルボンに比べて酸味と渋味が若干強いのが特徴。
コーヒー豆の実は通常成熟すると赤くなるが、この種は黄色く完熟するためアマレロ(ポルトガル語で黄色の意)と呼ばれている。
ブルボンの優性突然変異種といわれており、ブルボンと比較して樹高が低いので栽培しやすく酸味と甘味、コクが強くでることが特徴。
ブラジルのサンパウロで発見され、ブルボンとスマトラの自然交配によって誕生したと見られている。
病害虫に強く生産性が高いのが特徴。
マイルドな味わいではあるが生産性を意識して栽培されているため、他のアラビカ種と比較して風味が劣るともいわれている。
ムンド・ノーボの中で粒の大きなものがアカイアとして流通している。
ムンド・ノーボとカトゥーラの交配種。
ムンド・ノーボに比べ樹高が低くて病害虫にも強く、生産性が高いため近年栽培面積が急速に増えていると言われています。 赤と黄の両方の果実が実る。
ソフトで飲みやすい味わいといわれている。
エチオピアのゲイシャという街付近で発見されたことからこのように名付けられている。 改良されずに生き残っている希少種。
パナマのエスメラダ農園のゲイシャ種がコンテストで一躍有名になった。 生産量は極めて少なく、高級品として名を馳せている。
カトゥーラとハイブリッド・デ・チモールの交配種。
病害に強く、低地での栽培に向いていて、生産性も高い。 インドネシアのジャワ島で栽培されているアテンもカチモール系の品種と言われている。
コーヒー発祥の地エチオピアなどで何世代も前から栽培されている先祖伝来の在来種。 独特の香りや酸味が味わえる。
アフリカのコンゴ盆地で発見された品種。 低地での栽培が可能であることや成長が早いこと、病害虫に強いなど栽培が簡単で一度に収穫できる量が多いなどが特徴。
コーヒー豆としての風味はアラビカ種に比べはるかに劣るが、比較的安価で取引されており、独特の香りが強く、液量も多く取れることから市販の缶コーヒー・インスタントコーヒー・安価なレギュラーコーヒーに使われている。
カフェイン量がアラビカ種の2倍近くもあり、独特のえぐい香り・苦味により「コーヒーを飲むと胸やけがする、苦くてまずい」というコーヒー嫌いを生み出している原因のひとつと言われることもある。
流通しているコーヒーの約30%を占めている。
アフリカ西海岸のリベリア周辺で発見された品種で、流通量は世界のコーヒーの1%以下。 病虫害に弱く、アラビカ種と比べると酸味が弱く苦味が強いと言われている。
東チモールで1927年に見つかった、“突然変異でDNAの数がアラビカ種と同じになったカネフォラ種”とアラビカ種との間で自然交配によって誕生した異種間交配種(ハイブリッド)。
病変に強く、力強いボディと苦味、コクが感じられる。